2003/07/07

雪駄 = Snow Flip Flap


雪駄というのは非常に履き心地のよろしいものでして、最近はよくこれで
出かけているんです。七分丈のズボンに合うサンダルが本当はほしいのですが
何しろ金がないものですから、あるもので間に合わせないといけないんですね。
ということで最近は雪駄なんです。

雪駄の音にいらつく人がおりますが、私にはその音は一切気になりませんので、構わず突っ掛けております。 わたくし、何度か彼女にふられておりまして、雪駄を履くとこの彼女と付き合い始めて以来の一番大きなフラレを思い出すのです。

あれは昨年の夏でした。彼女と二人で彼女の実家まで車で行ったのであります。何キロくらいあるのでしょうか、非常に暑い夏のドライブでした。パリを出発し、スウェーデンまで一泊二日のドライブでした。私は車の運転はそんなに好きではないのですが、一度このロードトリップ的なことをしてみたかったので、この日は 車でスウェーデンまで行くことを思い立ったのです。楽しい日々でした。
しかし、ひょんなことがありまして、彼女にふられてしまったのです。もともと
二人でフランスに戻ってくる予定でしたが、ふられてしまった故、一人で帰らなければならなくなるわけです。私はあのデンマークの一本道を想像し吐きたくなるほど嫌になりました。デンマークの道はずぅぅぅっと永遠に同じような景色で、なかなかガソリンスタンドが姿を見せず、本当に退屈なんです。ドイツを 180キロくらいのスピードで疾走した後にデンマークに入るわけですが、デンマークは制限速度が110キロであるためにこれが拍車をかけて退屈させるわけですね。まぁ、友人、家族、恋人などとのんびりドライブするのならなんてことないんでしょうけれども、一人でドライブとなると話は変わってきます。それでもう本当に帰るのが嫌になりました。嫌で嫌で貧血になりそうだったので、何かいい手はないかと考えておりましたところ、フェリーでドイツまで渡ることを思いつきました。ということでスウェーデンのヨーテボリからステナラインというフェリーで海を渡ったのですぁ。そのフェリーでのことです。私が雪駄を履いていたものですから、みんな私をジロジロ見ておりました。スウェーデンからドイツまでのカーフェリーにはアジア人なんか乗っておりませんから、それだけでなんか異星人チックなわけですね。その時ですよ、ある50歳くらいのスウェーデン男性が声をかけてくれたのです。
「私そのサンダルほしいんですよね。」と。日本語でした。
少しC・Wニコルチックでした。
私はこの時ホーっとしたんですねぇ。彼女にふられ、一人ぼっちの航海でしたからそれはもう私の心はショボーンと萎んでいたんです。声をかけられて、本当にうれしかった。C・Wは今頃森が泣いているのを見て嘆いているのではないかと、そんなことを想像しつつも、私の心は晴れ模様になりました。
この男性、実は日本に25年も住んでいたそうで、奥様は日本人ということでした。 そこで、奥様とご一緒に3人で船内のレストランにて食事をしたのです。
彼女にふられ、私のションボリマインドを励ましてくれるかのようにお二人は楽しい話をしてくれました。私はこのお二人に大変感謝してるのです。

こんな感じで雪駄を履くと、彼女にふられたこととそれにまつわるいろいろな
ことが思い出されるわけであります。

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